(以下はストーリーのネタバレがありますので、映画を見ておらずみたい方は読まない方がいいかも知れません)
まず、原作者シュテファニー・ツヴァイクの自伝小説ですから、当然彼女自身である娘の視点から描かれた映画かと思っていると(映画も彼女の独白からはじまりましたし)、娘には決して見えないストーリーがあったりしたのは戸惑いました(たとえば妻の浮気の話)。
それは映画を盛り上げるための演出だったのかもしれませんが、むしろもっとシンプルなストーリーの方がリアリティがあったかもしれないと思いました(でもそれでは収益性がなくなってしまうかもしれませんね)。
それからバッタの襲来。
私が NGO のスタッフとしてマリにいた1988年の雨期の後、マリやニジェールでサバクトビバッタの大きな被害がありました。
バッタがやってくる様は本当に黒い雲のようでした。
それはたった一度だけでなく、何度もやってきました。
砂漠に近いサヘルにはほとんど植物がありません。
ですから、畑のトウジンビエやコーリャンはバッタの格好の餌食でした。
人々は手に枝を持ち振り回したり、火を燃やし煙でバッタを追い払おうとしました。
バッタには何をしても無理だと天を仰ぐばかりの人もいました。
バッタの被害を防ごうとした人の畑は、何もしなかった人の畑に比べればわずかにましでしたが、被害は免れませんでした。
やってきたバッタは、食べられるものがある畑に着くとそこから動かず夜を越しました。
映画のように数時間で去ってはくれませんでした。
一月近い期間の中の何度かの波状攻撃の後バッタは去りました。
しかしバッタの爪痕はそれだけではありませんでした。
翌年の雨期後には羽のないバッタの幼虫が大量に発生し、その群れが絨毯のように移動し、再び作物に被害をもたらしました。
バッタの幼虫の大発生は、虫を食べる鳥や小動物を呼び、それは小型の肉食動物をもこの地域に招き入れました。
それらの動物たちも、餌の少ないこの地域ではやはり農作物に被害をもたらしました。
そんな様子を見てきた体験からは、映画の中のバッタを追い払う話は安直すぎる物語に見えました。
さて、映画を見られた方は、なにが心に残ったでしょうか。
私にとっては、アフリカの映画を見ながらも(もちろんアフリカの風景はとても楽しめましたが)、一番強く思ったことは、あの少女はドイツにもどって自分の居場所を見つけられたのだろうか、という疑問でした。
原作者のシュテファニー・ツヴァイクはこの映画の原作 "Nirgendwo in Afrika" の他に "Irgendwo in Deutschland"(ドイツのどこかで)という小説を書いています。
ドイツに戻った後の彼女の自伝小説であるこの物語こそが私の疑問の答えのようです。
彼女はドイツで仕事に就き、今もドイツに住んでいるようです。
この本が英語かフランス語か日本語に訳されたらぜひ読んでみたいと思っています。
そしてその中から、今の彼女にとってアフリカはどんな意味を持っているのか、アフリカへの望郷はないのか、という答えを見つけてみたいと思っています。
彼女のその答えは、きっと私の娘にとっても生きていく上でのヒントになる気がします。
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コメント
こんばんは、今日やっとこの映画を見終わりました。ドイツ語だったので躊躇われたのですがなんとか最後まで飽きることなく見れました。懐かしく思い出した言葉は「ムズング」これは色が白いという事で白人だけでなく私も言われた覚えがあります。スワヒリ語だと思うのですが私の居たザンビアのベンバ語にも同じ言葉があると再認識して望郷の思いに駆られました。印象に残ったというか憤りを覚えてしまいなんでだろう?と自問自答したのは木下で死を待っている女性の姿に主人公?の母親が家に連れて行きなさいと命令したとこです。主人公の母親の死についての価値観がその後どうなったのか?作者に教えて欲しいと思いました。今時間とお金があるならば、もう一度ザンビアへ帰ってみたいと思いました。
投稿者: yamamoto 2004年01月26日 22:27
もうひとつの「生まれた国から離れた両親と移住先の文化の中で育ったこどもたちの物語」についてここに書いておきます。
"Namesake"
(http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/0395927218/sahelnokaze-22The )
デビュー作「停電の夜に」 (http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4105900196/sahelnokaze-22)
でO・ヘンリー賞、PEN/ヘミングウェイ賞、ピューリッツァー賞などを獲得した女性作家ジュンパ=ラヒリ(彼女の両親もインドからの移民)の初の長編小説です。
インドからUSAに移住した両親と USA で生まれ育った息子の物語です。
投稿者: jujube 2004年01月07日 22:26