サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

マリへの帰郷

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子どもたちだけの夕げ

すんなりと
いとこたちに溶け込んでいる娘を見て
ひと安心

もうすぐ到着というアナウンスがあり、窓の外を見ると見慣れた風景が広がっている。
飛行機が着陸しタラップに踏み出すと、暖かい空気に囲まれた。
肌がよく覚えている感覚だ。
「やっと帰ってきた」
一時的な帰省という腰かけ気分でなく、帰郷したような気持ちになる。

空港の建物に向かう足がはやる。
検疫や入管の奥のところまで、(妻の)弟や妹の旦那が迎えに来てくれていた。
トンブクトゥ出身のアラブ警察官とグンダム(マリ北部)出身のトゥアレグのジャンダルム(軍事警察)が私たちをエスコートしてくれる。
待合室にいる間に、彼らが入国手続きをしてくれ、荷物検査もスルーとなった。
郷土と遊牧民のネットワークに感謝。

空港の外に出て4年振りに見る我がプラドは、一見思ったより傷んでいなかった。
荷物を積み込み弟の家に。

弟の家に着き、車を降りるなり、大勢の家族から歓迎を受ける。
子供たちが、それぞれに荷物を持って家の中に運び込んでくれる。
まずは娘の大好きな息子を抱きしめる。
もう私より身長が高い。
相変わらず痩せているが元気そうだ。
グンダムの長姉とその子供たち、義母の世話をしてくれていた妹とその息子、母の従妹、弟の妻、そのほか大勢と挨拶を交わす。
長い長い挨拶が続く。

クーラーがあるということで、私たちには亡くなった義母が使っていた部屋が用意されていた。
数日前まで義母が使っていた部屋と思うと、いろいろな思いが込み上げてきた。
居間に戻り、家族と近況を尋ねあう。
居間には絨毯が敷かれている。
ソファはない。
装飾を施した厚手の布をかぶせたマットレスが、壁に沿って並べられ、そこにクッションが置かれている。
絨毯の上に座ってマットレスに肘を付いたり、絨毯やマットレスの上に寝そべったり。
思い思いの格好で寛ぐ。
水で薄められ砂糖を足したヨーグルトが、ひとりひとりに振る舞われる。
これは私の大好物だ。

話に夢中になっていたが、ふと気がつくともう薄暗くなってきている。
知らぬ間に時間が過ぎている。
この時期、バマコのマグレブの礼拝は7時過ぎ。
プラスチックのやかんの水で体を清める。
この家で、一番年長の男性は私だ。
当然、礼拝の先に立てと勧められるが、弟に譲る。
大勢で礼拝するのは、久しぶりだ。
そんなことも嬉しい。

雨期なので蚊が多そうだ。
マラリアに気をつけないと。
同世代の子供たちと遊んでいる娘に、虫除けスプレーを塗るようにと声をかける。
私もスプレーをつける。
娘は、効くだろうかと半信半疑持ってきたブレスレットタイプの虫除けも併用。
しかしこれは匂いがきつい。
寝室では、電池式携帯タイプの蚊取り線香のスイッチを入れておく。

夕食はこちらのやり方で、男性グループ、女性グループ、子どもグループと、盛りつけが分けられている。
男性は居間の奥、子供たちは居間の入り口近く、女性は屋根のあるテラスで、それぞれ車座になって皿をつつく。
トマトベースのスパゲッティだが、調理前に短く手折られ、炊き込みご飯風に煮込まれたマリ式だった。
娘は同世代の子供たちに溶け込み、上手に手でスパゲティを食べている。
写真をパチリ。

夕食後、お茶を飲みながら、母の最後を聞く。
北の家族や友人の消息を尋ねる。
家畜はどうか。
話は尽きないが、眠気が強くなり、挨拶し部屋に入った。
ベッドに倒れ込んだ途端、もう眠っていた気がする。

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コメント(8)

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私も数カ国ですが海外へ旅行した経験があります。
滞在先で必ずすることが、早朝の空気を肌で感じる事です。
その土地土地で違った空気を感じることが出来て、体がそれを覚えていて、日本でもたまにその時に感じた空気に近い状態を経験することが出来ると、その国を思い出します。

単に湿度と気温の関係なのですが。(^_^;)

マラリア。日本でも温暖化が進んでマラリアが発生するんじゃないかという話がありますね。
現地の人たちは免疫があるのでしょうか?

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inamokuさん、

早朝の空気について
私が初めての土地で歩き回るのが好きなのと同じですね。
私も見知らぬ土地で朝を感じるの大好きです。
次第に色を取り戻してゆく景色の変化、人の営みが始る鼓動・・・

異国の空気といえば、どこかで書きましたが、
妻と遠距離恋愛中だった時、
真冬に車の窓を全開にして走ると、砂漠の冬の風を感じることができ、
よくそうやって車を走らせ、同じ空の下にいる妻(当時フィアンセ)を思っていました(おのろけ)

それから、長く西アフリカに暮らし、日本に戻った時、日本にも独特の「匂い」があると気付きました。
今回も、中部国際空港で飛行機から出た通路で、
「あ、日本の匂いだ」
とそれを感じました。
醤油っぽい匂い?

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inamokuさん、

マラリアについて
もう何回苦しんだか。
娘も実は2回罹っています。
高熱に苦しみながら、か細い腕に点滴しているのは、見ている方が辛く、替われるものなら替わってあげたいと思いました。
大人なら自己責任ですが、子どもの場合は親の責任。
子供たちが罹らないように、できる限りの予防策を講じました。

地元の人たちも免疫はありません。
しかし、荒っぽい言い方をすれば、大人たちは、生まれた時からいろいろな厳しい環境に淘汰されて生き残った人たちですから、耐性は強いみたいですね。
妻の民族にはいませんが、黒人系の人たちの中には、マラリアになりにくい鎌状赤血球を遺伝的に持っている人も少なくありません。
ただし鎌状赤血球は酸素が運びにくい形なので貧血になりやすいというデメリットがあります。

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ああ!
仕事しなくちゃ
(独り言)

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パッと見たときには皆でゲームをしてい様に見えました。
お食事中でした。
皆で同じものを食べると言うのは早く仲良くなれるメリットがありそうですね。
もう、すっかり馴染んでいますね。

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biwakokayoさん、
ほかの子供たちと遊びながら、娘の口からフランス語だけでなく、タマシェク語(トゥアレグの言葉)もあんなに出てくるとは思いませんでした。
ほっ

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お嬢さん、美人さんですね。
しかもとても優しく聡明そうな雰囲気が漂っていいます。

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rosyさん、生まれた時私そっくりだった娘は、だんだん妻に似てきました。
喜ぶべきなのでしょうが、ちょっと淋しい・・・
10歳になり、精神的に急に成長してきたなあ、と最近しみじみ感じています。

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2006年8月 2日 19:31に書いたブログ記事です。

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