サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

ティロキエンの夕べ

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雨に濡れた砂の
冷たさ

吹き抜ける風の
心地よさ

交わす言葉の
暖かさ

砂丘の上で過ごす時間は
なんて豊かなんだろう

日干し煉瓦の家に住む親類というのは、7年前私がバマコに住んでいた時、ラマダン(イスラム教の断食月)を私の家で過ごした男だった。
娘は当時2才でさすがに彼のことは覚えていなかったが、息子は覚えていた。
とても陽気な男だ。
砂丘の上から大声で家にいる自分の妻や子供たちに指示し、ござや皮のクッションやお茶の道具を持ってこさせる。

ここの砂丘の砂は、トンブクトゥやグンダムよりずっと赤い。
グンダム同様、ここも昨晩雨が降り、砂丘は濡れている。
濡れた砂は手足や衣服に付くが、はたけばあっという間に落ちる。
全くこびりつかない。
だから汚い感覚は全くない。
娘と3才のいとこは、きれいな砂がとても気に入ったようだ。
砂の上を走り回って遊び始めた。

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私たちは砂丘の上で、お茶を飲みながら、思い出話に花を咲かせた。
何年もあっていない親類の消息を尋ねた。
今年の雨の様子、家畜の様子を聞いた。
のどかな風景の中で、とてもゆったりした豊かな時間を過ごした。

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日没になり、砂丘の上で礼拝。
日が沈んだとたん、蚊だろうか、体中何かに刺される。
しかしそれは、バマコやグンダムの蚊とは刺された感触が違う。
おそらくマラリアを媒介するハマダラカではないのだろう。
それでも刺されるのは気持ちいいものではない。
娘、息子、妻と虫除けスプレーをしっかり塗る。

友人は、
「雨期はすごく蚊が多くて大変だが、乾期は世界中でここくらい良いところはない」
と言う。
彼がそれほどまでに言う乾期のティロキエンを是非訪れてみたいものだ。
砂丘の上、星空の下で、体の芯まで届くような砂漠の寒さの中、友人たちと焚き火を囲みながら過ごしてみたいと思う。

砂丘の上の4本の柱を立ててもらう。

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そこに蚊帳を吊り、娘と中に入る。
妻は少し離れた別の砂丘の上で、親類たちと楽しく話し続けている。
蚊帳の中で、携帯式の蚊取り線香も忘れずに付けておく。

薄い蚊帳の布地を通して、頭上の星々がよく見える。
「夏の大三角。はくちょう座、わし座、こと座、さそり座、ヘラクレス座、へびつかい座、北斗七星、北極星・・・」
娘に星座を教える。
じっと空を見ていると、空気が澄んでいるので流れ星がたくさん見える。
娘はそれに驚き、とても喜んでいた。
私も妻も、知らない間に寝てしまった。
食事ができたと起こされたが、眠かったのでミルクだけもらい寝てしまった。
砂の上を走り回り遊び疲れた娘も、同じようにミルクを飲んだだけでまた寝てしまったそうだ。
何年ぶりかで、砂漠で暮らしている夢を見た。

(2枚目、4枚目はEF70-200mm F2.8L IS USM + 30D)

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コメント(8)

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1枚目の男性、素敵ですね。
何をしていらっしゃるのでしょう。
奥様もお話が楽しそう。
Iちゃんもかわいいな。
奥さんに似ているのでしょうね。(笑)

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写真を撮った時、彼は私たちにお茶を煎れてくれていました。
右手に持っているのは、ヒツジの骨で作ったパイプです。

今日は一日娘と遊ぼうかと思ったら、
「お友だちと遊ぶ約束してるの」
(涙〜)

SECRET: 0
誤字の訂正ありがとうございます。

ところで上の3枚の娘の写真を改めて見て、今気がついたのですが、娘はずっとカメラを手に持ったまま遊んでたんですね。
さすが娘(笑)
Optio WPという防水カメラだったので、砂も水もへっちゃらでした。

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娘さんがどんな写真を撮られたか見たいですね。
大人と違う見方があるかもしれない。
何に興味を持ったのかか・・・・。
娘さんの写真ブログは?(笑)

私のブログに来られる方の娘さんが同じ小学生ですが、
赤ちゃん(弟)を上手に撮られていますから・・・。


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この赤さは、アル・アインの沙漠にとてもよく似ていますね。
私にとっての「沙漠」はこの赤なんです。白いのは砂浜のイメージしかなくて(笑

日本だと公園の砂場のようなのを想像してしまうかもしれませんが、
沙漠の砂が汚いものではないというのは私には良く解ります。
砂を磨き粉代わりにコップを磨いたりしましたから。

風が耳を撫でて行く音しか聞こえない沙漠で飲むお茶は、
どうして、あんなに美味しいんでしょうね。

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たけやん、
そうか!
きっと遊牧民は、生まれ育った所によって、
みんな「自分の砂漠色」を持っているんですね。
それは日本人にとっての、「味噌汁の味」みたいなものかも知れませんね(笑)
私にとっての砂漠色は、トンブクトゥの少し暖かみのある薄黄色です。
妻の砂漠色は、生まれたラズ・エル・マの白だそうです。

今日のイフタール(一日の断食明け)まであと40分。

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jujubierさんは今頃ごちそうを食べているのかな。
私のブログを見に来て下さい。(笑)

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biwakokayoさん、
娘への素晴らしいプレゼント
ありがとうございました!

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2006年8月19日 20:11に書いたブログ記事です。

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