サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

ドゥエンザへ

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いつもより青い空
雲が流れ
大地は緑に覆われ
満々と横たわる池に
涼しい風がさざ波を立てている

雨期ののどかな風景

しかしその恵みを手に入れられるのは
月が2度満ちた後

4時前に自然と目が覚めた。
遠足前の子どものようだ。
外はまだ暗い。
懐中電灯で、準備してあった荷物を車に詰め込む。

車に乗るのは、私たち家族(私、妻、息子、娘)と妹夫婦とその一番下の息子(3歳)。
そしてトンブクトゥ地方から弔問に訪れていた妻のおばと運転手。
義妹の旦那は車に詳しいので頼もしい。
運転手の隣に息子、そして右窓側(ハンドルは左)に義妹の旦那。
中央には、おば、妻、娘、私。
後部の荷物の上にマットレスを敷き、そこに妹とその息子。

他にも家には、弔問に来てくれていて、そろそろトンブクトゥ地方へ帰りたいという家族が数人いたが、車に余裕がないのでバスでグンダムまで先行してもらった。
バスだと早くて24時間ほど、雨で道路の状況が悪ければもっとかかるそうだ。

予定通り5時に出発。
8時過ぎ、235km先のセグーのもう使われていないガソリンスタンドに車を止め、近くのうちから小さな七輪を借りてお茶と朝食。
小一時間して出発。
200km先のサンの道路沿いのレストランで昼食。
選択肢は、オクラソースのご飯掛けとピーナッツペーストのシチューのご飯掛けだった。
昼食の後、またお茶。

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念のためガソリンを満タンにして出発。
世界遺産で有名なジェンネの近くを通り、ニジェール川交易の要衝モプティや、古い伝統を維持しているドゴンの人々の住む断崖郷に繋がるセヴァレの十字路を通り抜ける。

雨期の雨は、地表の高低差を見逃さず、低いところ低いところへと集まり、季節的な川をあちこちに作っている。

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川の水は一番低いところに集まり、大きな池のようになっているところも、道路脇だけでもあちこち見える。
動物も人も、その水を飲んでいる。

d0087256_0504339.jpg このセヴァレあたりまで来ると植生が変わってくる。
畑の中にシアバターの木があまり見られない。
トウモロコシやコーリャンやトウジンビエが植えられていない未耕作の土地が増えてくる。
そして、他の木々が青々と葉を茂らせている雨期に、不思議なことに葉を落とし、乾期に葉を茂らせるアカシア・アルビダが目立つようになってくる。
葉がなく木肌が白いため、緑の風景の中に白骨のように浮き出ている。

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それでもまだバオバブが散見できるから、まだサヘル・サバンナと呼べるのだろうか。

乾期には、アカシアの仲間を除けば、葉を落とした木々ばかりで、地表は薄茶色の荒涼とした大地が続く地域だが、雨のお陰で大地は緑の絨毯に覆われている。
乾期か雨期の一方だけしか知らない者は、もうひとつの季節に訪れると、それが同じ場所だとはなかなか信じられない。
それほど、雨期と乾期は様子が一変する。

今、家畜は柔らかい若草を食み、元気を取り戻しつつある。
しかし見た目ののどかさと裏腹に、人間にとっては今が一番厳しい時だ。
なぜなら、この雨に潤った大地が穀物の恵みを人間にもたらすのはまだ3か月も先の事だからだ。
外から来た者は、今が一番食べるものが少なく、穀類の値段が上がる季節だとは思いも寄らないだろう。

d0087256_0532622.jpg 右手に丘陵地帯が見え初め、それがごつごつした岩地に変わって行く。
夕刻、サンから340kmのドゥエンザに着いた。
バマコからここまで約800km。
舗装道路はここまで。

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コメント(5)

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2枚目の写真で手をしっかり握っているのが印象的です。
やけどしないように・・かな。
シャツがピカチューですが世界中で人気ですね。
このシャツはお土産で買っていかれたのでしょうか?
それとも現地で売っていますか?

>近くのうちから小さな七輪を借りて・・
この近くの家というのは知人なんでしょうか?(笑)

昼食のレストランでの選択肢が2個だけというのも面白いです。
私はどちらを食べていいかわからないから、
半分ずつかけて欲しいですが・・・そういうのもお願いできますか?

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腕白な年頃ですから、お父さん、しっかり気をつけているんでしょうね。

娘とひと月違いの彼の一番上の息子は、1歳になる直前、突然呼吸が止まり亡くなりました。
(人工呼吸も功を奏さず、その子は私の手の中でなくなりました・・・無力さを感じながら抱いていたその重さは、今も手に残っています)
そんなこともあったので、彼は子供の事故や健康には人一倍気を使っているのかもしれません。

お茶は、マリ人の暮らしにとって欠かせないものですから、知らない旅人にでも頼めば貸してくれます(笑)

お茶の写真は、朝食時じゃなくてお昼のレストランの前です。
この時もレストランで七輪を借りました。

私はオクラソースを頼み、娘はピーナッツソースを頼みました。
でも、娘は少し食べた後、私と交換しようと言ってきました。
隣の皿の方がおいしく見えたんでしょう(笑)
2人なら、一皿ずつ頼めば、半分ずつ食べられますね。

味見させてもらうこともきっと出来ます。
マリでは何でもあり!

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ピカチューは、旦那か奥さんがバマコで買ったものです。
中国とかマレーシアなど安いアジア製の衣料品がたくさん売っています。

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素晴らしい景色ですね。
こんな自然の中で暮らしていると小さな事でゴチャゴチャ思わないのでしょうね。
もっともこんなに美しいのは雨期だけなのでしょうが・・・。

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いなやん、
ホント、こんな自然の中にいると物欲はなくなりますね。

乾期は、確かに厳しいけれど、やはり美しいです。
人間の小ささをしみじみと感じます。

でも日本に戻ると、物欲がまた首をもたげてくるのは何故でしょうか(笑)

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2006年8月17日 17:25に書いたブログ記事です。

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