サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

最後のテント

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砂漠の旅の
最後のテントに着いた

娘が起きた。
昨日も娘は食欲がなかったが、今朝も気持ちが悪い、食べたくないという。
ウシのミルクを暖めてもらう。
「少しでも飲んだ方が体に良いよ」
と私や妻が言うとミルクに口を付けようとするが、口元が震え、目から涙がこぼれ落ちた。
「飲みたくない」

気持ちの悪さは車の旅の疲れのせいもあるだろう。
搾りたてのウシのミルクの匂いや味に慣れていないこともあるだろう。
しかし、涙は食欲の問題ではないだろう。
娘は砂漠に来て、流れ星を見たり、ミルクを搾ったり、兄やいとこと砂遊びをしたりして、砂漠でしかできないことを楽しんでいる。
しかし、砂埃、食事の中の砂、茶色い飲み水(飲ませていないけれど)、昼間のハエの多さ、夜の蚊・・・楽しんでいるが、同じくらいいろいろなことにも抵抗を感じているようだ。

娘には、砂漠の暮らしの面白いところ、嫌なところ、いろいろ体験させたいと思うが、無理強いはしたくない。
無理強いして、どうしようもなく嫌いになって欲しくない。
娘の涙を見て、残念だが、今回の砂漠の旅をは今日で切り上げることに決める。
「今日は、お父さんのラクダとヒツジとヤギを見たら、夜はトンブクトゥまで行ってホテルに泊まろうか」
世話になった親類に別れを告げ、朝8時過ぎにティロキエンを出発。

ティロキエンのいとこにガイドとして同乗してもらう。
しかし、雨で大きく侵食された段差や枯れ川、ブッシュなどがあり、なかなか思う方向にまっすぐ行けない。
大きく迂回路し、目指すアルグズーに到着。
しかしラクダを預けているいとこがどこにいるかわからない。
牧草の状態で、テントを移動しているからだ。
家畜を追っている男、ラクダに乗っている男、テントの女性などを見つけ、挨拶し、いとこの名前を告げる。
その度に教えられる方向に車を走らせる。

途中、ガイドをしてくれている男が見失っていたウシがいた。
彼はその幸運を喜んでいた。

直線距離なら十数kmだろうが、砂丘をいくつも超え、小一時間走り、ようやく目指すテントに辿り着いた。
家長は家畜を探しに行き留守だが、その家族が暖かく私たちを迎えてくれた。

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コメント(9)

SECRET: 0
>口元が震え、目から涙がこぼれ落ちた

Iちゃんのこんな姿を見るのは辛いですね。
私も同じになりそうです。

洗面器みたいな大きな食器とか
使用後はお水で洗うのですか?
日本なら当たり前のお風呂やお洗濯は?

SECRET: 0
雨期は雨水がありますからそれで食器を洗います。
そういう水は黄土色です。
井戸が遠いと、飲み水も雨水だったりします。

水が少ないところ、少ない季節は砂で食器を洗ったりすることもあります。
サラサラの砂が、汚れや油をきれいに洗ってくれます。

井戸が近ければ、井戸水を使います。
井戸の水はきれいですが、それを入れるヒツジやヤギの皮袋が新しいと、皮の匂いがきつかったり、皮が剥がれて水に入っていたりします。
慣れないと、これも気になりますね。

私は今回、飲み水として出された雨水や煮沸してないウシのミルクも飲みましたが、お腹は壊しませんでした。

しかし娘には、バマコから用意して行った大きなポリタンクに、グンダムで水道水を入れ、ずっとこれを飲み水としたり、粉ミルクを溶かすのに使っていました。

SECRET: 0
雨水が池のように溜まっていると、そこで水浴びしたりします。
ニジェール川の近くなら、川で水浴び。
井戸水しかない時は、それをプラスチックのやかんに入れ、砂丘の陰で水浴びします。
こういう時使う水の量は、多くても数リットルでしょうか。
慣れると、2リットルあれば体全部洗えます(笑)

洗濯も雨水や井戸水です。
あんまり頻繁には洗濯しませんね・・・
乾燥しているので汗臭くはなりませんが、あまり洗わないと服に染みた汗が乾いて白く塩をふいていたりします。

SECRET: 0
お話と全く無い様が違って、申しわけないのですが、
来月から、インドから、19歳と16歳の男子学生が我が家に
ホームスティする事になりました。
これは、登録してある某団体からの受け入れではなくて、
長女が通う学校からの依頼です。クラスの人数の半分の
留学生を毎年受け入れているらしいのですが、
皆さん、アジア系、女性、と言う事にこだわって、
結局、娘が自分から我が家は、どちらからでも~!と
言ったらしく、本来ならお一人なのですが、受け入れ先が
なくて、我が家に2名いらっしゃるとの事でした。
よく考えたら、インドに近いお国は、受け入れの経験はありますが、
インドは、初めてなので、、、、。
多分、大丈夫とは思うのですが、何か気をつけた方が良い点が
ありましたら、教えて下さいませ。
今迄と違って、犬が室内に居る事と、息子が受験生なのが、
ちと気がかりになっています。

SECRET: 0
かよちん、インドといってもとても広いですし、習慣や宗教もいろいろありますね。
ヒンディーだとウシを食べない、あるいはベジタリアン
ムスリムだと、豚(ラードやショートニングも)がだめ
などの可能性がありますね。
でも人によって、どこまで戒律を守るか、程度が違うので一概に言い切れません。
こういう点は、ただ心配されているだけでなく、学校あるいは本人とはっきり相談された方がトラブルが少なくなると思います。
マリから来られる方ならいろいろアドバイス出来ますが、インドは詳しくないのですみません。
でも、どこの国から来られる方であっても、お互いを尊重するというのがやっぱり基本ではないでしょうか。
ただし、
・以心伝心じゃなく、しっかり言葉でコミュニケーションをとる
・(双方が)ダメなことははっきり伝える
ということが大切だと思います。

SECRET: 0
おはようございます。そうですよね?基本さえ、しっかり
守っておけば大丈夫ですよね?
多分、以前のトラウマが少し不安にさせているのかも知れません。
17歳のオーストラリアの高校生が約1年ほど、スティした時ですが、
よくある事と、聞いてはいたんですが、異文化に触れる事で、
自分の性に目覚めた子がいて、男子学生として来たのですが、
途中から、本来の性は、女性であるとわかり、本人も
私たち家族も、周りの方全て、大変な思いをした
経験があります。とても、お互い悩み苦しみました。
滅多に無い事らしいですが、意外と多いらしいです。
今回、そのような事にならないように、
願うばかりです。
アドバイス、ありがとうございました。

SECRET: 0
衛生面では格段に優れている日本に住み慣れてしまうとそれが当たり前になってしまって受け入れることが難しいでしょうね。小さな子供ならなおさらでしょう。しかし、現地の人にとってはそれは当たり前のことだから、我が儘と捉えられてしまわないのでしょうか?
間に挟まれたお父さんの気苦労が大変だったのではないかと思います。

SECRET: 0
かよちん、インドの青年たちと楽しい時間が過ごせるといいですね。
大変なこともあるかもしれませんが、お互いに知りあって良かった、一緒に過ごせて良かったと思えるといいですね。

SECRET: 0
日本の衛生感覚は、「行き過ぎ」と思うことがしばしばあります。
体に必要な菌まで減ってしまいそうです。

これからも、子どもたちには、タフな暮らしを体験させたいです。
寒いけど来月辺りキャンプにでも行こうかなあ。

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2006年8月22日 09:31に書いたブログ記事です。

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