サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

思い出の値段

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こんな写真が撮りたくて

サハラ砂漠で使った機材について
「とても高価なカメラとレンズですね」
と感想をいただいた。
確かに。

日本の中小企業で働いていると、長い休みをとるのは不可能に近い。
そんな中、遥かなサハラ砂漠への旅の機会がこの夏に訪れた。
次はいつ行けるかわからない。
この旅の記録、サハラの自然、人々、サハラの暮らしを、写真に残したい、日本の人たちに見せたい、と強く思った。

写真という形を強く意識したのには、いくつかの理由がある。

サハラ砂漠の自然や人々の話をさせていただくことが年に数回ある。
しかし言葉だけでは伝え切れないことが、とてもたくさんある。
写真を見せられたら、といつも悔しい思いがあった。

サハラが縁で知り合い、拙宅まで訪ねて下さった写真家の大塚雅貴さん。
サハラの素晴らしい写真を撮られている。

中東の暮らしを素晴らしい文章と写真で伝えておられるたけやんのブログ
訪れたことのない中東の砂漠の風物から、不思議に胸に響く懐かしさを感じる。

このお二人の写真が、お二人には及ばずとも、記録という枠を越えて「私の砂漠」を撮りたいという思いを、私に強く与えた。

決して金に替えらない、二度と得られないかも知れない貴重な記録と感動を写真に残そう。
その準備を昨年から始めた。
手の届く範囲で一番理想に近い機材を揃えた。
カメラを生業にしていない自分には分不相応かという気もした。
しかし、機材をけちって後から悔やみたくなかった。

そして、サハラでは、人と人との繋がりを守った上で、夢中でシャッターを切った。
そこには、心の底から撮りたいものがたくさんあった。
あの高揚感と緊張感は、まだ胸の底に残っている。

これが今手元にある高価なカメラとレンズの物語だ。
技術が足りず、機材を使いこなせず、撮れなかったものも少なくない。
それでもこのカメラとレンズだったからこそ撮れたものも、やはり少なくないと思う。
費用分の働きは、既にしてくれたと思っている。

さて、今、サハラから戻り、写真を通して自分を表現したいと言う気持ちは変わらない。
しかし、シャッターを押す瞬間の情熱はサハラとは比べられない。
目の前の瞬間を一欠片も逃さず、ファインダーに収めようとした強い欲が、今はない。
大きなカメラを構えて、たくさんのシャッターを切る気持ちが、毎日は持てない。

今は、暮らしの中でふと気付く、心のふるえのようなものを撮りたい。
強い感動ではないけれど、人の心に触れるものもあると思う。
そういう小さな、柔らかな、大切なものを感じたい。
撮りたい。

しかしそれには、大きなカメラとレンズは使いにくい。
そこで、もっと小さな、けれど撮りたいものがしっかり撮れそうな(撮れるかどうかは腕次第だな)カメラとレンズを揃え始めている。
先進のスペックではなく、撮りたいものから敢えて選んだ機材。
さて、私はそれを使いこなせるだろうか。

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コメント(8)

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モノの価値は人それぞれ、ですね。
写真という入れ物に定着された時間は、どんなお金にも換えられないものです。

>>しかしそれには、大きなカメラとレンズは使いにくい
沼へ行く為の典型的な決め台詞の一つですな。

しかし、買うといってから間もなくR-D1sがリストに(汗

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たけやん、

> 沼へ行く為の典型的な決め台詞の一つですな。
言い分けはしません。いや、しようかな。
沼に行く為、ではないです。
もう中に入ってますから(キミが引きずり込んだんだ)
より深く潜るための台詞ですね(爆)

> R-D1sがリストに
はっはっはっ。よく見つけましたね。
今月はあと2回出張予定(関西&瀬戸内)
それに間に合わせました。
来月から3月頃までは、曜日の感覚がなくなるくらい休日なしの外回り・出張ばかり。
アフター5で使いまくります。
しかし、実際の終業時間は午後5時どころか深夜になる日も(涙)
やっぱり夜向きのNoktiか・・・

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素晴らしいポートレートであります。
この渋さ、タマランのであります。
オイラも撮ってみたいのであります。

ということで、L/M地獄に入られるとのこと。
ノクチは持っておりませぬがノクトン35/1.2は実にいい描写するのであります。
ポートレート系は...やはりズミクロンでありましょう。
8枚玉とは言わないのでありますが、50/2の仕様(意外と古い方が良い)のもの探してみてくだされ。空気感がタマランのであります^^;

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ひらりん先生、コメントありがとうございます。

でも、地獄って響きはどうも・・・
一眼のレンズに比べると、L/Mレンズは体力的にパラダイスじゃないですか。

ポートレイトにはズミクロンですか。
ズミルックスよりいいですか?
ついつい解放値の大きなものに魅かれるタチなんですが。

R-D1sまだまだ慣れないので、精進します。

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>今月はあと2回出張予定(関西&瀬戸内)

西明石もですか?
お近くに来られたときには連絡下さい。
R-D1S触らせて下さい。(笑)

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いなやん、

来週は瀬戸内出張予定ですが、西明石は通り過ぎます(笑)
西明石に泊まるのは1月以降でしょう。

今週、水曜日から金曜日は大阪出張です。
水曜日と木曜日は大阪駅の近くのホテルにいます。
金曜日午前中のアポイントがひとつキャンセルになったので、木曜日の夜は(7時くらいから)遅くまで大丈夫です。
大阪は遠いですか?

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おはようございます。日本と違って、砂漠で一眼のレンズを交換するだけで、リスクがあるように思ってしまう私は、勿論、ど素人ですけど、、。
ただ、羨ましいのは、空の色とか、自然の空気の白自体が、違うような気がしています。それこそ、デジタルだから、レタッチ云々と言う事もあり得ますけど、そうではない、全くの自然界の色が、そちらはとっても綺麗だと感じています。もしかしたら、それって、jujubierさんや、たけやんのおかげ?それから、例えカメラが高価で、性能がどんなに良くても、
現実には、腕次第でしようから、私は、やはりjujubierさんは、自分に合ったカメラだったのだと思いますよ。だって、素敵ですもんねぇ~。
ついつい、うっとりするものばかり、、、。いいなぁ~。

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かよちん、確かに砂漠でのレンズ交換は、埃が入るリスク大きいです。
でも一眼レフでないと撮りにくいものがあります。
そういうシーンを撮りたいと思いました。
それから、たくさんのフィルムを持っていき管理する大変さ、その場で撮った結果を確認できるデジタルの便利さを比較すると、レンズ交換時のリスクがあってもくデジタルを選びました。

空や空気の色は、確かに地域によって全然違うと感じています。
これから、日本の空や空気も撮ってお見せしていきたいと思います。
さて、どんな絵になるやら・・・

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2006年11月10日 22:13に書いたブログ記事です。

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