サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

LEICA M8

| コメント(2) | トラックバック(0)
d0087256_1202097.jpg

驚きを
感動を
喜びを
悲しみを
伝えたい

珍しくハードの話(その2)

サハラ砂漠をラクダで旅していた時、MINOLTA CLEという(銀塩)レンジファインダーを使っていた。
ナイフ、コンパス・地図、ターバンと共に、決して忘れられない旅の道具だった。
CLEは、自分の眼、あるいは記憶の延長の様なものだったかも知れない。

昨年の夏サハラ砂漠に持っていったデジタル一眼レフEOS 5Dは、動作がややもっさりしているのは玉に瑕だったが、写りにはまったく文句はなかった。
しかしかつてのCLEの感触、軽快さが忘れられず、日常をさりげなく切り取りたいと、年末に思いきってレンジファインダー式デジタルカメラのLEICA M8を買った。

使ってみるとM8は、迅速なオートフォーカス、正確無比なホワイトバランス、分かりやすいフレームのEOS 5Dの対極にあった。

フォーカスはマニュアル。
レンジファインダーの常でフレームはとてもアバウト。
25mmとか、40mmというブライトフレーム(ファインダーに表示される画角の枠)のないレンズでは、フレーミングは勘(笑)。
また、同じレンズでも遠距離と近距離でフレームがズレる。
しかしそれは、承知の上で買ったので問題とは思わなかった。
慣れれば何とかなる、そう思った。
二重蔵合致式のフォーカシングは、CLEで慣れていたのでむしろ懐かしかった。
M8の方がCLEよりも有効基線長が長く、むしろ見やすい。
あばたもえくぼ、贔屓目なのだろうか(笑)

レンジファインダーにズームレンズはなく(画角を3段切り替えられるレンズはあるが持っていない)、単焦点のレンズを付け替える。
あるいは足で(近寄ったり離れたりして)画角を合わせる。
絞りとシャッター速度を決め、フォーカスを合わせて、シャッターを押す。
こんな風に、ほとんど自動で撮れる最新式のデジタル一眼レフに比べると、一枚一枚撮るのにとても手間がかかる。
しかしそれは一枚一枚丁寧に、気持ちを込めて撮れる気がして面倒とは感じていない。
むしろ、そうやって撮ることを楽しく感じている。
ハンドポーチにも入れられる大きさから、EOS 5Dでは抵抗のあった場所にも気軽に持ち出せる。
出張時に、交換レンズ1〜2本と一緒にかばんに詰めても、それほど重くないしかさばらない。
毎日、どこにでも持ち出している。

しかしいささか扱いに困っている点もある。
巷で大きな問題になったローパスフィルターがないことによる色かぶりは、現像ソフトのカラープロファイルで納得出来る範囲に押さえ込めるので、それほど問題とは感じていない。
しかしオート・ホワイトバランスと中央重点式測光は、まったくあまり信頼性がない。
暴れる、暴れる・・・
デジタルだけれど「アナログ」らしさを残したEPSONのR-D1sに対して、M8は潔くデジタルなのだが、とても「ファジー」なカメラだ。
できれば何とかして欲しい点があと3つある。

1.シャッター

レンジファインダー・カメラらしくないシャッター感覚。
それは、銀玉鉄砲(by コーイチさん)のようなビヨ〜ンという感じのモーター式シャッターチャージのせいなのだろうか。
R-D1sのような、シャッターを切った瞬間の静かな「カチリ」という感覚が欲しい。

2.露出補正

メニューから、モニターを見ながら選ぶ必要がある。
R-D1sのシャッター速度ダイヤルと一体型のものより、夜間など暗いところで確認しやすいとは言え、メニューから選ぶのはまどろこしい。
専用のダイヤルを付けて欲しい

3.画像処理

d0087256_126618.jpg

フレームの端に強いタングステン光があると発生する帯状のノイズ
左の光源から子供の帽子のあたり

d0087256_1264743.jpg

蛍光灯をとった時に出たブロック状ノイズ
ノイズ部分を拡大(等倍以上に拡大してピクセル大のモザイクになっているわけではない)

これらの問題についてはライカへ報告し、対応を依頼している。
ファームウェアのバージョンアップでぜひ改善して欲しい。

まあ、不満はあるが、それでもとても愛着を持ってM8を使っている。
しかし、当たり前だが、撮ること自体が目的ではない。
M8で、撮りたいと思った時に、今まで以上にシャッターが押せるように。
撮りたい気持ち、撮った時の思いがもっと伝えられるように。
そう願っている。

追記
冒頭の写真のように、M8という文字は黒のビニールテープで、赤いライカマークは、娘が丁度いい大きさの丸いドイツ国旗のシールを持っていたので、それを貼って隠している。
こうしていると、まずデジタルカメラだと思われないだろう。

トラックバック(0)

トラックバックURL: http://sahelnet.org/mt/mt-tb.cgi/2070

コメント(2)

SECRET: 0
普通の善良な市民はM8知らないですぞ^^
はともかく、「一枚一枚丁寧に、気持ちを込めて撮れる気がして面倒とは感じていない。」
オイラと気分全く一緒であります。

キヤノンさんのQRセンターに7sD出してとお願いしたら、「要望多いんですよ」って答え。
レンジもまだまだ捨てたもんじゃないなと思った次第であります。


SECRET: 0
*ひらりんさん、
私は善良じゃない市民でしょうか・・・むむむむむ。

レンジファインダー・カメラの撮影のリズム、気持ち良いですよね。
M8、シャッターがもう少しどうにかなれば、もっと撮影に気持ちが乗るのに(涙)

コメントする

このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2007年1月22日 23:57に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「NOCTILUX-M f1/50mm」です。

次のブログ記事は「生きて写真を撮る」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。