サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

あるカメラの物語(1/5)

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1983年、ラクダでのサハラ砂漠横断の3回目の下見でニジェール、マリ、モーリタニアなど約半年かけて回った後、一旦フランスに戻った。
足りない地図、コンパス、そしてカメラを揃えるつもりだった。

ある日、レアル(Les Halls)のFNACでカメラを物色していると、初老の男が話しかけてきた。
「失礼、一眼レフをお探しなのですか?」
「いえ、決めかねていて」
「これまでに一眼レフを使ったことはありますか?」
「ええ、OLYMPUSのOM-1とOM-2を使ってました」
「ああ、小さくてとても良いカメラですね」
「はい、でももっと小さなカメラが欲しいと思って」

拙いフランス語で答えていると、分かりやすく言い換えたフランス語でたくさんの質問を受けた。
「どんな写真を撮られるのですか?」
「サハラ砂漠のラクダの旅で使いたいんです。だから荷物は出来るだけ少なくしたいので、カメラも小さなものが欲しくて」
「ほう!だったら砂や暑さを考えないといけませんね」
彼は私を近くのカフェに誘い、いろいろなことを教えてくれた。
次の日も待ち合わせ、カフェで長い話をした。

親子ほど年の違う若い、フランス語もうまく話せないアジア人に、彼がどうして興味を持ったのか分からなかった。
しかし彼は、カメラやフィルムや現像についていろいろなことを教えてくれた。
「内式のエクタクロームより外式のコダクロームの方がいいかな」
「長期間携行するならプロ用より普通のフィルムの方がいいでしょう。でも同じロットのものを買うといいですよ」
凱旋門の裏(西)のKODAKのラボも教えてもらった。
「一眼レフより小さい、いいカメラがある」
レンジファインダーカメラにも話が及んだ。
「とてもピントが合わせやすい」
彼自身もレンジファインダーカメラを使っていると、LEICAを見せてくれた。
小さいけれど適度に重く、とても緻密だけれど丈夫そうなカメラだと思った。

お礼を言い彼と別れた。
それから数日悩んだ末、MINOLTA CLEとレンズを2本買った。
フィルムはASA64のコダクロームを4分の3。そして増感可能なASA400のエクタクロームを4分の1。
そしてサハラ砂漠の旅に出た。

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コメント(2)

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まず、アジア人に見えたかどうかが、謎ですね。はは。
で、、、欲しいもの、、数日間の迷い、、、うらやまひぃ~~。
我が家の主人、、悩み出してから、、、もう何ヶ月も経過しています。
果たして、、、どのような結果が出る事やら、、、。
で、、、突然話しは、変わって、、私のMacintoshのPCで、読むと、、数字の所が、飛んだり跳ねたりして、整列していないのです。
でも、知りあいのWindows、で、読むと、、整列しているのです。
これって、、jujubierさんのブログだけなんです。何で?
おしぇ~~て下さいまし、、、。私には、今、そちらの方が、謎です。(爆)

SECRET: 0
親切な方との出会い・・・良かったですね。
jujubierさんの熱心さが通じたのでしょう。

焚き火でお茶・・・火があるとホッとして温かいですね。
2人の間に会話はなくても心が通じている感じがします。

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2007年5月15日 23:26に書いたブログ記事です。

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