サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

あるカメラの物語(5/5)

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手作りのぬくもり

明治村にて

この懺悔の物語もいよいよ最後だ。
辛く恥ずかしいけれど、書かないと、写真を撮る上で前に進めない気がした。
だから書いている。
早く書き終えよう。

新しいM3は使い込んでいくと、正直なところ、以前のものと感触が違っていた。
それは方式の違う巻き上げの感触だけではなかった。
写真を撮る瞬間にも違和感があった。
シャッターボタンを押した感触が柔らい。
1/15秒あたりでシャッターを切った時、跳ね返る音と感触が以前のものよりかなり大きい。
シャッタースピードダイアルは固い。
手に持った時の革の感触も違った。
写真の写りにはまったく問題はないが、撮りながら違和感が拭えずにいる。
1959年のズミクロンは、なかなか見つからない。

そんな中、彼から便りが届いた。
優しさに溢れた便りだったが、読んでいてとても恥ずかしくなった。
許可をもらいその一部の意訳を載せる。

Leicaを使っていると聞きとても嬉しいです。
カメラが壊れたのは残念でした。でも壊れたのが撮りたい瞬間じゃなかったのなら、それは幸運だったかもしれません。
このカメラは直せるけれど、それは元のM3ではなくなります。それに撮るために直すには高過ぎるかも知れません。
君が12年間使った思い出も含めて、このカメラはこのまま私の元に置いておきたい。
代わりの記念の品を贈ります。
写真にしましょうか。私が選んで贈りますか。自分で選びたいですか。
次にカメラについて。
コレクションじゃなく撮るためのカメラは、製造年にもM3にもこだわることはないですね。M3は確かに良いカメラですが、部品の確保が難しくなってきます。例えば、長く使うとあのスプリングはへたります。
M4はどうでしょう。とても実用的でお勧めです。やはり慣れたM3がいいですか?
レンズは、カメラ以上に年代じゃなく質で。しばらく時間を下さい。任せて下さい。
君の写真をぜひ見せて下さい。

このまま放っておくとM4が届きそうなので(笑)すぐそれは辞退した。

温かい言葉をありがとうございました。
それこそが、私にとっては代え難い友情の記念です。
今は、何も贈らないで下さい。写真はパリに行った時にぜひ自分で選ばせて下さい。
仰る通り次はM4にしようかと思います。でもそれは、自分でゆっくり探してみようと思います。レンズは今あるものたちで充分です。
写真は選んで送ります。

焦ってM3を買ったのが恥ずかしかった。
それは言えなかった・・・

ここしばらく悩んだ末、それに折角選んで下さった方にはとても申し訳ないが(カメラを壊して以来悔やむことばかりだ)、M3は手放そうと思う。
1959年のズミクロン探しもやめる。
それから、R-D1sと何本かM/Lマウントとキヤノンのレンズも手放すことにした。
カメラやレンズを整理して写真を再出発。

そして彼に写真を送らないと。
どんな写真を送ろうか。
かなりプレッシャー。

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コメント(5)

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カメラや、レンズを落とすと、凄くショックを受けます。
まして、かなりな壊れ方だと、立ち直れません。
じっくりと、次のカメラ、選んでください(^^;

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*鍵コメさん、
M3は素晴らしいカメラだと思います。
ただ、思い入れがあり、あまりに良いコンディションのものに最初に触っていたので、2機目に違和感を感じているだけのことです。

お気に入りのカメラで撮るということは、趣味の写真ではとても大切な要素でしょう。

M8は気に入っていますが、電気的なところで信頼感が・・・
というわけで電池がなくてもシャッターが切れるお気に入りのカメラが1台は手元に欲しいです。
ただ、今のM3は前のものと比べると・・・

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*j_capacityさん、
カメラが壊れたショック
その反動で買ったカメラの感触
手紙のアドバイス
とカウンターパンチを貰い過ぎて、もうEOS 5Dも手放そうかと。
これってキレちゃってるのでしょうか・・・
M8と35mmと50mmの2本のレンズがあればそれでいいような気もしてきました・・・

SECRET: 0
手放すのはいつでも出来ますが、一度手放したものはなかなか戻りません。
たとえ手放すのが正解でも、そんなにあわてる必要はないのでは?

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*j_capacityさん、
アドバイスありがとうございます。
今週は出張で自宅にいないので、その間に頭を冷やすことにします。

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2007年5月18日 19:10に書いたブログ記事です。

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