Mission impossible（ミッション・インポッシブル） 15

テント暮らしで避けて通れない、しかしとても難しい作業がある。
それは用を足すことだ（笑）

テントにあまり近いと、聞こえたり臭ってしまうかも知れないので、テントからかなり離れて用を足す。
しかし昼間、下手な所でやっていると、ラクダに乗ってきた男、歩いてきた女性に見つかってしまうかも知れない。
見つからないようにと砂丘の陰にいたら、猛スピードで飛ばしてきた車に轢かれるかも知れない・・・かな。
とにかく、そんなリスクの少ないポイントを見つけておかなければならない。
夜は夜で別の問題がある。
人や車に出会う可能性はほとんどなくなるが、テントからあまり離れると、迷って朝までテントに帰れなくなってしまうのだ。
そこの住人がそんな目に遭うことはないだろうが、昔NGOの活動でテント暮らしをしていた時、実際、夜トイレに出て何時間か迷ってしまった同僚の日本人がいた。

10時前に横になり、疲れもあってぐっすり眠ったせいか、３時過ぎに目が覚めた。
アリさんの母親の作った毛布は本当に暖かかった。
前日は、移動が続き、トイレ（大）に行っていなかったし、夜、たくさん飲んで食べたこともあり、目が覚めると用を足したくなった。
そこでペットボトルと懐中電灯を持ってテントを出た。
冷たい空気が心地よかった。
星空が、本当に綺麗だった。
北極星を確かめ、それを右肩の後ろに記憶し、西側のハザリさんの岩壁近くを南南西に歩いていった。
時々後ろを振り返って、星の位置とテントの方角を確かめながら、数分歩いた。
岩の窪みに適当な所を見つけ、ズボンを脱いだそこに座った。
ここでも重要な注意事項がある。
地面の傾斜に気をつけないと、小便が自分の方に流れてきてズボンを濡らしてしまうのだ
何度流れてくる液体を避けようと、ズボンを下げたまま後ずさりしたことか（体験談）

時々懐中電灯で確かめながら無事に用を足し終えた。
さあ、テントに帰ろう。
北極星を確認し、元来た方向に歩き始めた。
懐中電灯はできるだけ使わない。
懐中電灯で確認できるのはせいぜい足元と自分の周りだけ。
遠くを目指して歩く時にはメリットよりデメリットの方が多い。
眼がその明るさに慣れてしまうと、懐中電灯を消した時、周りがまったく見えなくなってしまうからだ。

幸い、まったく迷わず一直線にテントに戻ることができた。
やれやれ！

テントに戻って毛布に包まったが、４時過ぎには我慢できずにカメラを持って外に出た。
サンダルの上にM8を置いて、満点の星空やテントの写真を撮った。