サハラの旅から戻り、改めて砂漠の友人たちを写真に収めたいと始めた写真ブログ

Un vendeur de Taamiya(ターメイヤ売り) 07

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sindbad_7さん、ありがとう
そう感謝しながら、写真を撮った

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歴史的建造物に頼った「如何にもエジプト」というステレオタイプの写真は撮りたくなかった。
暮らしの情景からカイロの空気を伝えたいと思った。

僅か数日の滞在で、人々の暮らしに入り込めないことも分かっていた。
それにエジプトもヨルダン同様イスラム圏だ。
「アンマンの壁」は「カイロの壁」として存在しているだろう。
不安だった。

しかしカイロに着いて3日目に、とても幸運な機会を得た。

CAIRO Night and Day − 24hoursのsindbad_7さんにオマーン出発前の貴重なお時間をいただき、お話を伺うことができたのだ。
カイロを何年も撮影されているsindbad_7さんのアドバイスはとても心強かった。
そのアドバイスで、それ以後カイロでの撮影はイスラーム地区に絞った。
時間のある限り、そこに出かけて歩きまわることにした。

イスラーム地区で写真が撮れないと感じた時、あるいはカイロ滞在中に何かめげるようなことがあったら、(これもsindbad_7さんのアドバイスで)サッカーラに逃げ出すことにした。
こうやって逃げ道をひとつ考えておいたらずいぶん肩の荷が下りた。

作ってあった逃げ道は、結局使う必要がなかった。
悪名高き(?)カイロのタクシーに何度も乗ったが、トラブルは1度だけだった。
メーター式の黄色タクシーに乗った時、メーターで行ってくれといったら、かなり遠回りをして目的地に行こうとしたのだ。
地図を持っていたので、すぐ遠回りしていることが分かった。
文句を言うと、
「大統領が飛行場から来るので(それは事実だった)、交通規制が敷かれていて通れない道があるから」
と言い訳しやがったが、そこからはすぐに真っ直ぐ目的地に向かってくれた(笑)

もしかすると、いろいろトラブルがあったのかもしれない。
何しているのかと問い詰められたり聞かれたり、道を尋ねて、教えてもらった方向へ歩いて行くとびっくりするようなところに出たりした(笑)。
しかしそんなことは西アフリカでは日常茶飯事、充分「想定の範囲内」のことばかりだったので、むしろ小さなハプニングは楽しかった。

それから、もうひとつありがたいことがあった。
イスラーム地区では、人々の暮らしが家の中だけでなく通りにまで溢れていた。
通りにテーブルが並べられたカフェ。
ターメイヤ(空豆のコロッケ)やクシャリ(マカロニ混ぜご飯)の露店。
野菜や果物の路上マーケット。
通りに向かって開け広げられたや家具や金物細工などの作業場などなど。
通りを歩いているだけで、人々の営みを垣間見ることができた。

イスラーム地区でたくさんの写真を撮った。
もちろんイスラム圏での写真マナーに気をつけながらシャッターを押した。
アンマンでも、写真を撮る前か後に挨拶したり、礼を言った。
礼を言うとまた歩き出した。
それだけだった。
人とのつながりがとても希薄だった。

しかしカイロでは、片言のアラビア語で挨拶した時、あるいは写真を撮っていいかと尋ねた時、
「こっちへ来い。座って一緒に何か飲んでいけ」
「どんな写真を撮ったのか見せてくれ」
「あいつの写真も撮れ!」
「(エジプトとチュニジアのサッカーの試合中に)一緒にエジプトチームを応援しろ!」
と進んで私を招き入れてくれた。
時には政治談義を聞かされたり、
「日本は何でアメリカの軍隊を追い出さないんだ?」
と迫られ困ってしまったほどだ(笑)

そんな人たちの中を歩くのは楽しかった。
次第に写真を撮ることが辛くなくなっていった。
「撮らせてもらっていいですか?」
言葉やカメラを差し上げた身振りで尋ねると、ダメだと拒否する人もいたが、快く写真を撮らせてくれた人たちの方が多かった。
男に限れば、子どもだけでなく大人も、俺の写真を撮れ撮れとかなりうるさかった(笑)

しかしそれは、アンマンとカイロの人々の性格の違いだったのだろうか。
アンマンでは、気持ちの整理がついていない自分自身が、人々と距離をとっていたのかも知れない。
帰国してからそうも考えている。

ともあれsindbad_7さんのアドバイスのお陰で、肩の力が抜け、いろいろな人たちと楽しく話をしながら写真を撮ることができた。
本当にありがとうございました。

ひとりごと

今日は5つも投稿した。
よくありそうな写真や旅日記的な写真を早めにアップして、自分らしい写真まで急いで辿り着きたかったから。
ここからは、かなり自分の世界に入ってしまっている(笑)
さて、それを気に入ってもらえるだろうか。
そこからカイロの空気を感じてもらえるだろうか。

明日は所用で東京と鎌倉に行き、横浜で一泊の予定。
夜遅くまで予定があり、更新できないかも知れない。
しかし、明日の分までアップしたので、ゆっくり写真を見てください。
何か感じたらコメントをお願いします。

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コメント(16)

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そうですよね。
自分自身が声をかけることに億劫になっていたりして、ちゃんと意思表示さえすればそれに従えばいいだけの事ですよね。
私も日本ですが、実行してみようと思います。
ありがとうございました。

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いや〜、素晴らしい写真ですね!!
異国の地でしっかりコミュニケーションを取られているから、
良い写真が撮れるんですね。勉強になりました。
距離感の近さ、人々の生活感が感じられました。

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久しぶりに東南アジアに行ってみたい気分になったのであります。
もう、オイラのタイ語、さび付いて使えぬと思うのでありますが....
いい記事であります。

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人間の魅力が存分に伝わってきます。
素晴らしい。

かいと

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いやぁ。やっぱりノクチを持って行って正解だったのでわ?
ゾナーもいいけど、ノクチ、いいなぁ。。。

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お役に立てて良かったです。
次回は、一緒に白砂漠と黒砂漠でも行きましょう。
「自分の世界に入ってしまっている」と言う次の投稿楽しみです。

ファースト・フードの店員のカメラ目線で睨んだ写真に素顔のカイロを感じました。

「撮れ撮れ」と、撮りたくないポートレートまで撮らされているjujubierさんが目に浮かびます(笑)

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*haru.haru-0101さん、
写真の中の人たちを間近に感じていただけたなら、とても嬉しいです。

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*ひらりんさん、
写真に刺激されて無性に旅に出たくなることってありますよね。
私の写真がそんな1枚になれたなら、とても嬉しいです。

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*かいとさん、
人が大好きです!
人を見ること、話すこと、撮ること
そんな気持ちが伝わったでしょうか。

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*銀治さん、
どんなに重くても、ノクチを持っていかない、なんて選択肢はありませんでしたよ(笑)

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*sindbad_7さん、
本当にお世話になりました。
ああいう目線、本音が出ていていいのかもしれませんね(笑)
「撮れ撮れ」攻撃、参りました。

白砂漠、黒砂漠もとてもおもしろそうですが、もっと西、リビア寄りのベルベル系の人たちが暮らしているオアシスに行って見たいです。
トゥアレグの言葉通じるかなあ。

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*いなやん、
声を掛けちゃうと固まってしまう人にはどうすればいいか
別の問題発生です(笑)

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シーワ・オアシスの事ですね。1昨年に行った時には以前と比べて随分と観光地化されてしまっていて、西洋人の多さにビックリ(ガッカリ)して3泊の予定を1泊だけにしてアレキサンドリアに戻ってしまいました。
あそこはシーワ独特の言葉を話すようです。アラビア語は理解されます。

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*sindbad_7さん、
シーワ独特の言葉というのは、リビア南部と同じベルベル系の言葉だと思うんですよ。
とすれば、トゥアレグの言葉とルーツは同じかと。
ぜひ1度訪れてみたいと思います。
でも・・・(よそ者の勝手な言い分ですが)観光地化されていくのは残念ですね。

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撮った写真をあとから見返して、その写真がそのときの自分をあらわしているということに気がついたりすることって私もあります。
旅先で出会った人を撮るときは、私の場合その人とどうやって向き合ったかが写真に出てるよなーと自分でも思ったりします。笑って向き合うと、写真も笑顔の相になるし、どこかよそよそしいような写真は、けっきょく私のほうが心をじゅうぶんにひらいてなくて、距離を置いてたのかもしれないな、とか・・・

話変わりますが、来年3月バマコinニアメoutのチケット取りました〜。
またお尋ねすることあると思います。いろいろとご教示ください!

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*はせつさん、
写真て、後から見返してみると新しい発見がありますよね。

マリのことでしたら、何でも、いつでも、気軽に相談してください!

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2007年12月 7日 19:45に書いたブログ記事です。

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