日本に戻り暮らし始めてから、サハラ再訪まで

リアリティとイマジネーション

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机上の論理に終わらず、外部の都合によらず、本当に「地域住民」(特にLower)が「持続的」に裨益者となりうる開発とはどのようなものなのでしょうか。
いろいろな失敗を現地で見て、聞いて、あるいは報告を読んで、リスクの少ない開発、地域住民にマイナスのインパクトをできるだけ与えない関与を行うために必要なものが、ふたつあると考えています。

それは「多くの経験」と「豊かなイマジネーション」です。

「多くの経験」
調査データや理論からだけでなく、「経験」として地域固有の背景や現状を正確に知っていることは非常に重要なことです。
そしてそれは、その期間が長いだけでなく複数ある(これが「多くの」の意味するところです)ほど、偏向せず様々な角度から検証できるメリットがあります。

「豊かなイマジネーション」
そしてもうひとつは、「こういうこと」を「ここ」でしたらどうなるのか、という予測のためのイマジネーションです。
まず、「そこ」でなく「ここ」という点が大切です。
地域住民の立場になって考えるところからもう一歩進んで、本当に自分自身のこととしてその成り行きを考える姿勢です。
そこから導く予想は、自然・社会環境を詳しく知っているほど正確なものになるでしょうが、様々なリスクや副次的な結果を想像するためには、それだけでは不十分です。
この場合には、経験だけでなく知識がイマジネーションの幅を広げてくれます。

地域住民だけによると短期的な視野に立ったものになりがちです。
外部者だけによると往々にして実情の把握が欠けています。
当たり前のようなことですが意外に、過去・現在の把握と、将来の予測をつなげるこのふたつのバランスがとれていない計画が多いと、開発関係のレポートを読みながら思いました。

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このページは、Yoshinori FUKUIが2003年3月13日 12:34に書いたブログ記事です。

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