日本に戻り暮らし始めてから、サハラ再訪まで

アフリカの黒い石

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アフリカで「黒い石」と呼ばれるものをご存知ですか?
「黒い石」といえば、サウジアラビアのカーバ神殿のものが有名ですが、それとは関係ありません。
名前の通り小さな黒い切片状のもので、ヘビやサソリに咬まれた時に使うものです。
傷口を消毒したカミソリなどで切り、血が流れているところにこれをくっつけると、毒を吸い取ってくれ、毒を吸い終わるとポロッと落ちるそうです。

西アフリカでは、よく知られています。
ですから、西アフリカの古くからの民間医療の道具かと思っていたのですが、探してみると、売っているのは教会のシスターだったりしてちょっと不思議に思っていました。

ある時、調べてみると、コンゴでベルギー人の神父が見つけたものだと書かれていました。
そのため、"la pierre noire des Pères blancs(白人神父の黒い石)"とか"Belgian Stone(ベルギー人の石)"と呼ばれるのですね。

ちなみに、一度使ったらミルクで煮るのだそうです。
暫く煮て、浮いてきたら、また使えるそうです。
BLACK STONEに英語で説明がありました。
写真も載っています。

「黒い石」は、ザンビアからのブログ毒を吸う石の正体!? アフリデブでも紹介されていました。
ザンビアでも有名なんですね。
しかしアフリデブでは、「黒い石」を褐炭(リグナイト:炭化の不十分な石炭)と仮定して書かれていますが、西アフリカの「黒い石」は主にウシの向う脛の骨を炭化させたものです。
LA VOIX DU PAYSANに作り方が2通り書かれています。

オンラインであちこちでその効能が議論されていますが、不思議だが本当だという人と、迷信だという人が半々ですね。
ヤウンデ(カメルーン)のLA VOIX DU PAYSANは、作り方まで書いていますから、効果があるとしています。
しかし、Institut Pasteur(パスツール研究所)のSociété de pathologie exotique(外来病理学学会)が出しているEnvenimationsに載っている、ダカール(セネガル)のIRD(Institut de recherche pour le développement:開発研究協会)とキンシャサ(コンゴ民主共和国)のキンシャサ大学抗蛇毒センター(Centre antivenimeux, Université de Kinshasa)の共同研究の投稿、"Etude expérimentale de l'efficacité de la pierre noire"(「黒い石」の効用の実験調査)には、『結論として「黒い石」には効果が見られなかった。』とあります。
私は、マウスを使った実験によるこちらの結果を信用しようと思います。

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コメント(1)

jujubeさん
メールありがとうございました!!!
そして、記事もうなずきながら読まさせていただきました。とっても勉強になります!!!

「ウシの向う脛の骨を炭化させたもの」というのは聞いたことが無いので、こちらでどうなのかさらに調べてみたいと思います!西アフリカと違ったザンビアでの話があればまたご報告します!!

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このページは、Yoshinori FUKUIが2005年12月15日 03:38に書いたブログ記事です。

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