日本に戻り暮らし始めてから、サハラ再訪まで

オレオレ詐欺

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中日新聞(2002.10.4)にこんな記事が載っていました。
「おれだけど、今すぐ金がいるんだ」
孫や息子のふりをして電話をかけ年配の女性から現金をだまし取る事件が愛知県犬山市と隣の扶桑町で急増。被害総額は約800万円に上る。
女性が自宅に一人でいる日中、最初に「おれ、おれだけど」と繰り返し、女性が「〇〇なの?」と肉親の名前を言うと「そうだよ」と答えて架空の話を始める。
「事故を起こした。警察に連絡したくないので、五十万円がすぐに必要なんだ。姿を見せられない」
「やくざに脅されている」
などの架空話を持ちかけ、公民館の消火栓や指定した自動販売機の下などに現金を置くよう指示して現金をだまし取る手口。
「声が違うと思ったが、それだけ動転しているのかと心配し、だまされてしまった」

これを読んで、10年ほど前、セネガルにいた時のことを思い出しました。

ケース1(路上で)
男「こんにちは!いやあ、よかった。俺は運がいいなあ」
私「?」
男「おれだよ、あんたの同僚のいとこだよ。一度会いましたね」
私「??」
男「実はついさっきあっちでガス欠になっちゃって。悪いけどちょっと金を貸してくれないかな」

ケース2(これも路上で)
男「お久しぶり。私ですよ。事務所のM氏の友人のGです」
私「(記憶にないけどとりあえず)こんにちは」
男「実はついさっきあっちでガス欠になっちゃって(以下省略)」
この場合は下調べしてるんですね。

ケース3(またまた路上で)
男「こんにちは。ほら、おれだよ。ジョゼフの友達だよ」
私「?」
男「ミシェル知らない?フィリップは?パスカルは?テオ?ジョルジュ?」
で知っている名前があってつい
私「アシュレムに住んでるジョルジュ?」
というと
男「そうそう!彼のいとこだよ。実はついさっきあっちでガス欠になっちゃって(以下省略)」
羅列する名前が「チン、チャン、シェン、ワン・・・」という中国名風のケースもありました

ケース4(これは自宅で)
男「こんにちは。私ですよ。町内会のものです」
私「(知らない顔だがとりあえず)こんにちは」
男「こんど町内会の青年部サッカーチームを応援するのに、ユニフォーム作りのための募金を集めてます」

ケース5(これも自宅で)
男「こんにちは。私ですよ。3軒先に住んでるSです。」
私「(知らない顔だがとりあえず)こんにちは」
男「実は妹が庭でバスケットをしていてけがしちゃって。急いで病院に連れて行きたいんだけどタクシー代がないんでちょっと貸してもらえませんか?」

続き
1と2
私「同僚はちょうど事務所にいますから、一緒に彼のところに行きましょう」
というとごまかして逃げていきました。

私「メルモーズのアンドレのところで会ったんだっけ?」
男「そうそう!覚えてた?」
私「アンドレって誰?知らないなあ。じゃあね」

私「選手が集まった時に教えてください。その時寄付しますよ」

私「そりゃ大変だ!私が来るまで病院まで送っていきますよ。一緒に家まで行きましょう」
男は数軒先の家に行き、現地の言葉でそこの住人と適当に挨拶を交わし、
男「妹は、もう病院に行ったそうです。ありがとう」
(1〜4のような体験があって少々いじわるな)私「それは心配でしょう。一緒に病院に行きましょう」
少し歩くと男は逃げ出しました。私が走って追いかけると、まわりは私が泥棒を追いかけていると思い、大勢の人間が「サチ!(泥棒)」といって後を追ってきます。みんな彼を捕まえようとします。すごい数の群衆になって彼は取り囲まれてしまいました。西アフリカではこういう場合、泥棒はたいてい死ぬほど袋叩きにあいます。
でもこの時は、彼が必死に「俺は泥棒じゃない!」と言ったのが通じたのか、袋叩きの前に、まわりが私に事情を聞いてきました。
これこれこういうわけですよ、と説明すると、口々に
「こいつどうする?あんたどうしたい?」
「うーん、みなさんにお任せします」
私はその場を離れてしまいましたが、さて、あの後彼はどうなったのでしょう。

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このブログ記事について

このページは、Yoshinori FUKUIが2002年10月 4日 18:47に書いたブログ記事です。

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