日本に戻り暮らし始めてから、サハラ再訪まで

右耳の小さな手術

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今日簡単な耳の手術をしました。
局部麻酔して、鼓膜を穿孔、中耳を洗浄するというものでした。
鼓膜って穴を開けてもふさがるんですね。無知でした・・・

20年近く前、サハラ砂漠でラクダに乗っていた時のことです。
雨期には、地平線に薄い線が見えたかと思うと、それが津波のようにみるみる大きくなって迫ってきました。
砂を巻き上げて近づいてくる砂嵐です。
人の住んでいるところなら、これが見えたらすぐに家の中に避難すればいいわけですが、砂漠の真ん中では身を隠すところがありません。
ラクダを降りて、毛布にくるまり、ひたすら砂嵐が過ぎるのを待ちます。

ひどい砂嵐だと、砂の量が多くて、自分の手も見えないくらい真っ暗になります。
砂が皮膚に当たると、ヤスリをかけられたようにいたいです。
実際、炭だらけになった鍋を放り出しておくとぴかぴかに磨かれます。
もう少しマシな砂嵐だと、その中ではすべてが夕焼けのように赤く染まります。
こういう砂嵐を、トゥアレグは、「黒い風」「赤い風」と呼んでいます。

砂嵐は、たいてい数分でおさまりますが、その後によく雨が降り出します。
雨の降らない砂嵐もありますが。
その時間も短くて長くても30分くらいですが、とにかく強烈な雨です。
この砂嵐の後の雨は、砂漠に近い乾燥した地域ほど強烈な気がしました。
南に行くほど、そして雨期の終わりになるほど、日本の雨に近い、長いしとしととした雨が多いようでした。

そういう強烈な雨に降られると、毛布にくるまっていても体中ぬれてしまいます。
その後は、濡れていない服に着替えるか、震えながら「自然乾燥」を待つか、ということになります。
ラクダもなにも、周りはすべて濡れているので、ターバンを巻いていても、目も耳も砂だらけで、それが濡れてしまった状態です、不衛生ですね。

イスラム教では、1日5回の礼拝の前に手(肘まで)と足(足首まで)を洗い、口、鼻をすすぎ、頭と耳も簡単に洗います。
これは、こういう風土では非常に有効な衛生操作なのだと、後から思いました。

さて、砂漠の中でそんな雨期を過ごしたら、耳の調子が悪くなってしまいました。
耳がグジグジして、臭いのある茶色いドロドロしたものが耳にたまり、低い耳鳴りがします。
めまいもありました。
何ヶ月かして町に出た時に、ようやく耳に入れる液体性の抗生物質で治療をしてもらい直りました。

その後、首都に出た時に耳を見てもらったら、cholesteatoma(コレステリン腫)だ、真珠種になりかけているので注意しなさいと言われました。
そういえばセネガルで、文化人類学の小川了先生も真珠種の緊急手術をされたと本で読んだ記憶があります。

それから、時々耳を見てもらっています。
真珠種は進行性が早く、手術しないと直らないそうですが、私の場合は、真珠種になりかけというところでとまっているそうで、これまで手術を勧められたことはありませんでした。
しかし、今回、耳鳴りがあって耳を見てもらったところ、真珠種かなあと言われ、とりあえず炎症が治まってからCTでしっかり見てもらうことになりました。
今日の手術は、真珠種の直接の治療ではなく、聴力と鼓膜検査をした結果右の鼓膜内の圧力がおかしいということで、それを直すためのものでした。
手術は午前中でしたが、午後になって、仕事をしていたら耳が結構痛くなってきました。
今は、鎮痛剤を飲んで痛みは治まりっていますが、耳の違和感と耳鳴りがひどいです。
病気になってしみじみ、健康のありがたさを感じますね。

20年近く前の、砂漠の砂嵐を思い出したので書いてみました。

それからもうひとつ。
以前、外国語のリスニングは左耳より右耳の方がはるかにやりやすいと感じていました。
しかし今回、右耳が調子悪いので、フランス語を左耳で聞いていますが、昔のような違和感(右耳で聞きたい!という感じ)がありません。
なぜなんでしょうね。
ちょっとはフランス語に馴染んだんでしょうか (^_^;)

今日は体調が悪いので、元気になった時に右脳左脳のトピックをネットサーフしてみます。

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コメント(2)

すみません,今日は2003年の11月11日です。コメントが遅いので役に立つか判りませんが、一応。私は今、左耳がにcholesteatoma(コレステリン腫)になりかけで、手術しないで治療中です。耳鳴りも閉塞感にも相当慣れっこになってしまったので慣れればどうってことないので、安心して暮らしてください。ところで右耳は左脳とつながっているので外国語系は聞き取りづらくなってるかもしれません。しかし母国語は左耳で聞いてるはずなので母国にいる限りはやはり心配要らないと思います。右脳・左脳は「七田 眞」氏で聴覚については「篠原 佳年」氏が納得の行く説明をしてくれています。

耳鳴りと閉塞感、確かに最近は慣れてきました(めまいはなかなか慣れないですね)。
でも以前より集中力がなく、睡眠時間が増えたような気がします(耳じゃなく、年のせいか)。
でもときどき、ふっと耳が「通る」時があるんですよ。すると、「ああ、こんなに音にあふれていたんだな」と感動します。
それから、雨が降る前とか気圧の変化が身体(耳)でわかるようになりました。

ベッドで左耳を枕につけていると娘の話が良く聞き取れません。
妻のフランス語はあんまり関係ないみたい。
右耳の聴力だけの問題ではないようです。
日本語は確かに左耳で聞いているようですね。
あるいは音の高さの問題か。

いろいろと情報ありがとうございました。

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このページは、Yoshinori FUKUIが2003年2月24日 20:54に書いたブログ記事です。

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