日本に戻り暮らし始めてから、サハラ再訪まで

トキ「キン」の死

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環境省は解剖して死因を調べるとともに、将来の遺伝子技術の発展に期待をかけたトキの「再生」にも備え、肝臓など内臓の細胞を凍結保存する。

引用元:asahi.com : 社会 日本産トキが絶滅、佐渡保護センターの「キン」死ぬ

かつては日本のあちこちに生息し、学名ニッポニア・ニッポンと呼ばれる鳥の、日本産の最後の一羽が死んだ。

それは美しい羽を求めての乱獲によるという。
そんな形で、同じ風土に生まれた生き物が一羽残らず消え去ってしまったことは悲しい。

しかし、遺伝子技術を使って純国産のトキを「再生」する必要まであるのか、それは疑問に思う。

現在日本には、人工繁殖による中国産のトキとその子孫が39羽いる。
彼らが日本の自然の中で野性に帰り、繁殖する日は来るだろうか。

いったい、トキの棲める環境は、今の日本人が住みやすい環境なのだろうか。
物質文明は、トキの暮らしと多くの点で相反するのではないだろうか。

トキの棲める環境に私たちが住めるようになるには、暮らしの価値観や依存するものを大きく変えなければいけないように思う。
その理想がサヘルの暮らしであるとは言わない。
けれどもサヘルで暮らして、その暮らしには、動物と共存するための知恵がたくさん含まれていると思った。
自然を強くコントロールしようとするのでなく、自然の変化に人間が合わせた暮らし。
大きなインプットから大きなアウトプットを望むのでなく、持続性を考えた収穫・繁殖。

トキを野生に帰すために、私たち自身の暮らしを変えていくことを考えてみたい。
それは、トキのためだけでなく、日本という風土で、私たちの子供たちが暮らしていくためにも必要なことだと思う。

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このページは、Yoshinori FUKUIが2003年10月10日 18:14に書いたブログ記事です。

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