日本に戻り暮らし始めてから、サハラ再訪まで

病人にステーキ

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西アフリカで入院すると、入院初日にステーキが出てくることがあります。
まあ国立病院や市立病院じゃなく、私立の小ぎれいなクリニックの場合ですが。
しかし、いくらおいしそうなステーキでも、マラリアの高熱でうなされているときにはとても食べられませんよね。
ふらふらの病人に、どうして脂っこくて腹にもたれそうなステーキを出すのか不思議でしたが、今日その理由がわかりました。

手の指を骨折している妻が、インフルエンザの予防注射をした翌日、弱り目になんとか、頭が痛いと言って寝込んでしまいました。
注射があわなかったのか、注射にあわせたタイミングで風邪をひいたのかわかりませんが食欲がまったくなく、はたから見ていてもつらそうでした。
二日間で口にしたのは、牛乳と、わずかな牛乳かけご飯(塩味)だけでした。
そこで三日目の夕方、病院に連れて行き点滴をしてもらいました。

点滴が終わり、顔色もちょっと良くなった妻に、
「何か食べたいものはあるかい?食べられそうなものがあったら言ってくれ。作るか買ってくるから」
と尋ねました。

みなさんは、その答えとして、お粥とかうどんとかフルーツなんかを想像しませんか?
妻:貧血気味みたいなので血が増えそうなものがいいわ。レバーが食べたいわ
私:・・・
その晩は焼き肉になりました。

結婚生活も10年を超え、妻のたいていのリアクションは予想できるようになったつもりでした。
肉が一番の好物なのもわかっていました。
しかし、点滴直後にレバーが食べたいと答えるとは思いませんでした。

遊牧民にとっては、肉と乳製品が一番の栄養源なのでしょう。
そして根本的に消化器官の働きが違うようです。
肉類のタンパク質分解酵素の分泌量は、きっと日本人と全然違うのでしょう。
肉類は体が弱っていても、しっかりと分解・吸収できるのでしょう。
西アフリカには、遊牧民だけでなく農民にもきっとそういう人がたくさんいるのでしょう。
体が弱ったときでも、しっかりと栄養がとれないと生き抜けない環境が、そんな胃袋と嗜好を作ったのでしょう。
だから病院でもステーキを出すのでしょう。
と、おいしそうに肉を食べる妻を見ながら、自分を納得させたのでした。

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このページは、Yoshinori FUKUIが2003年11月30日 22:28に書いたブログ記事です。

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