日本に戻り暮らし始めてから、サハラ再訪まで

生きる場所、暮らす場所、帰る場所

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(タイトルは、TAKE Cさんのブログ「ラクダな日常 Ver.2」の「生きる場所、暮らす場所」から付けさせていただきました)

日本に暮らしの基盤を移し、3年半経ちました。

妻は、私の赴任に同伴しブルキナファソにいて、マリの北部にいた父親の死に目に会えませんでした。
そんな妻から「あなたは、私のような(一目会いたかったと)悔いを感じないでいいように、高齢の両親のそばにいてあげるべきだ」と言われ、アフリカを離れました。

決して嫌いでなく、経験も積み、これからもっとやりたいと思っていた仕事や、多くの友人たちがいて暮らし慣れた環境の西アフリカから離れることには、大きな決心が必要でした。
日本の生まれた土地は、もう30年近く離れていて、土地勘もなく親しい友人もいません。
仕事も、それまでとまったく違う業界に飛び込むことになります。
正直に言えば、あまり前向きでない日本の暮らしのスタートでした。

日本の暮らしを、妻より私の方が、肉体的にも精神的にもなかなか受け入れられませんでした。
初めの半年ほどは、じん麻疹がでたり、咳が止まりませんでした。
マラリアでもないのに高熱がでたりしました。
日本の環境や食べ物を体が拒絶しているようでした。
新しい仕事が嫌いなわけではありませんでした。
両親との暮らしがいやなわけでもありませんでした。
しかし、ただただ、心も体もそれになじめませんでした

しかし最近は、なんとか日本の暮らしや仕事に慣れてきたように思います。
アレルギーがあまりでなくなりました。
仕事も、妻に「やり過ぎ」「もっと家族の時間を持って欲しい」と文句を言われるほどです。
日本の暮らしや仕事をポジティブにすすめているつもりです。
けれど、以下の文章を読んで、自分の「居場所」をもう一度考えてみました。

「移住」というのは何もかも持てるものすべてをその国に移すということである。それはとても重い意味を含み、時としてその国に「命を預ける」ことでもある。

引用元:“ラクダな日常 Ver.2 生きる場所、暮らす場所” を読み込み中

私はマリのすべてを捨てて日本に来たのでしょうか。
いや、日本の暮らしに慣れては来ていても、日本に「移住」していないようです。
私はいまだに、日本に「帰ってきた」という感覚が持てないでいます。
一方、サヘルに「帰る」というのは、なんの違和感もなく言葉にできます。
あしかけ20年サヘルに暮らしている間、セネガルにいても、モーリタニアにいても、ブルキナファソにいても、土地を得て家畜を持つ、マリ以外のどこにも、帰る場所があると思ったことはありませんでした。

そして今、日本で暮らしながら、精いっぱい仕事をし、両親をしっかり見送ったら、仕事をうまく引き継いだら・・・老後は、サヘルに「戻りたい」と思っています。
そう思っているうちは、私は日本に「移住」できていないままなのでしょう。

サヘルで暮らした年月と同じ時間を日本で暮らしたら、サヘルに「戻りたい」という気持ちが消え、日本に「帰ってきた」と思え、日本に「移住」できるのでしょうか。
それとも、それはもう私の中で変わることのない感覚なのでしょうか。
それはこのブログをあと17年続けられた時に、サヘルに暮らした20年と同じ年月を日本で暮らしあと、ようやく答えられる問いなのでしょう。

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コメント(3)

こんにちは。
TBありがとうございます。

私にとっての「帰る場所」はたぶんアル・アインなんだろうなぁ、と最近になって特に思うようになりました。
どんなに交わる人が増えても、ドーハに対して気持ちが寄り添わないんですよね.....。

TAKE Cさん、
じゃあ、ドーハで結婚は・・・ (。_゜☆\ バキバキ
あ、ドーハで結婚して、アル・アインに一緒に行けばいいんですね(笑
そういう奥さんが見つかりますように♥

こんにちは。ベルベルです。
私はまだまだ「引越し」したばかりの身。移住するしないなんて、考えもしませんでした。
でもよ〜く考えると、時がそれを決めるような気がします。
奥様の提案には感銘を受けました。その懐の深さ、家族に対する愛情の強さ、私も主人と主人の家族から学ぶところが多いです。
jujubeさんは奥様と同じ場所に「帰る場所」を見つけられていいですね。

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このページは、Yoshinori FUKUIが2005年7月 2日 03:02に書いたブログ記事です。

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